（底本『平成新編 日蓮大聖人御書 上巻』） およそ成仏とは、我が身を知って仏になるとは申すなり。我が身を知るとは、本仏なりと知るをいうなり。 一切衆生・螻蟻蚊虻（ろうぎもんもう）まで生を受くるほどのもの、身体は六根・六境・六識の十八界をもって…

(底本:『平成新編・日蓮大聖人御書』p.264-269) 一には大なる悦びあり。 日蓮は身に戒行なく心に三毒を離れざれども、 また、やんごとなくめでたき事・侍り。 仏法を習ふ身には、必ず四恩を報ずべきにそうろうか。 四恩とは『心地観経』に云はく、「一には一…

(底本:『平成新編・日蓮大聖人御書』p.1381) 法華経はいかなるゆへぞ、諸経に勝れて一切衆生のために用ふることなるぞと申すに、たとえば草木は大地を母とし、虚空を父とし、甘雨を食(じき)とし、風を魂とし、日月を乳母(めのと)として生長し、華さき菓(この…

また一代聖教を弘むる人は多くおはせども、これほどの大事の法門をば伝教・天台もいまだ仰せられず。それも道理なり。末法の始めの五百年に上行菩薩の出世ありて弘めたもふべき法門なるがゆへなり。 相ひ構へて、いかにしてもこのたび・この経を能く信じて、…

(底本:『平成新編・日蓮大聖人御書』(大日蓮出版) p.1458) 釈尊は一切の諸仏・一切の善神・人天大会・一切衆生の父なり、主なり、師なり。この釈尊を殺したらんに、いかでか諸天・善神等、うれしく思(おぼ)しめすべき。今、この国の一切の諸人は皆な釈尊の御…

(底本:『平成新編・日蓮大聖人御書』(大日蓮出版) p.1457) ああ、過ぎにし方の程なきを以て知んぬ、我等が命・今いくほどもなき事を。春の朝(あした)に花をながめしとき、ともな(伴)ひ遊びし人は、花とともに無常の嵐に散りはてて、名のみ残りてその人はなし…

(底本:『平成新編・日蓮大聖人御書』(大日蓮出版) p.1456) 『新池御書』(弘安三年二月 御寿・五十九歳)うれしきかな末法流布に生まれあへる我等、かなしきかな今度この経を信ぜざる人々。 そもそも人界に生を受くるもの、誰か無常を免れん。さあらんに取って…

宗祖大聖人『当体義抄』入文部 日寛上人『当体義抄文段』:釈名の下(もとひ) 宗祖大聖人『当体義抄』入文部 (文永十年・御寿五十二歳) (底本:大石寺版『平成新編・日蓮大聖人御書』p.692) 問ふ、妙法蓮華経とはその体・何物ぞや。答ふ、十界の依・正、すなは…

宗祖大聖人『妙法曼陀羅供養事』 日寛上人文段『妙法曼陀羅供養抄記』(「成仏の印文」とは) 宗祖大聖人『妙法曼陀羅供養事』 (文永十年・五二歳) (底本:『平成新編・日蓮大聖人御書』(大日蓮出版)) 妙法蓮華経の御本尊、供養そうらひぬ。 この曼陀羅は文字は…